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労働保険・雇用保険は’’本社だけでOK’’ではない?支店・営業所を持つ企業が気をつけたいポイント

  • 執筆者の写真: あたけ
    あたけ
  • 7月24日
  • 読了時間: 3分

企業が複数の拠点(支店・営業所)を持つ場合、労働保険や雇用保険の取り扱いに注意が必要です。

「本社でまとめて手続きをしているから問題ない」と思い込んでいると、知らない間に法令違反になっていた...ということも。

今回は複数事業所を持つ企業に向けて、労働保険・雇用保険の取り扱いについてわかりやすく解説します。


■労働保険は『事業所ごと』に成立が原則

労働保険(労災保険+雇用保険)は、原則として事業所(労働者が働く場所)ごとに成立手続きが必要です。

つまり、たとえ同じ法人・個人事業主であっても、本社とは別に支店・営業所があり、従業員を雇っている場合には、それぞれの場所ごとに労働保険関係を成立させる必要があります。

 例)本社:神奈川県茅ヶ崎市

   支店:神奈川県藤沢市、神奈川県高座郡寒川町 → それぞれに労働保険成立届が必要


■雇用保険も『事業所単位』での適用

雇用保険も同様に、事業所単位で適用事業所の届出が必要です。

本社と支店で人の採用や労務管理が別になっているような場合、それぞれで適用事業所としての手続きを行うのが原則となります。


■ただし、「本社一括手続き」ができる場合も

例外として、以下の条件を満たす場合には「本社一括」で手続をすることも可能です。

【本社一括の主な要件(労働保険)】

・同一の法人または個人事業主である

・すべて「継続事業」である(期間を定めていない事業)

・各事業所の保険区分(一元適用or二元適用)が同一

・支店、営業所が同一の業種である

・同一の労災保険料率が適用される

・労働者の賃金集計、保険手続きを本社で一括して行っている

これらを満たしていれば、手続をすることで本社で全事業所分をまとめて申告・納付することが認められています。県外の事業所の場合は要注意。

新しく営業所を開設する場合は、はじめに「労働保険関係成立届」で仮番号を取得後に「継続事業一括認可申請書」の提出をして認可を受ける流れとなります。


■雇用保険で本社一括ができる場合とは?

雇用保険についても、条件を満たせば「本社一括(所在地管轄の公共職業安定所での手続)」が可能です。しかし、すべてのケースで認められるわけではなく、個別にハローワークの承認が必要です。


■実務上の注意点

・拠点ごとに労働者がいるにも関わらず、労働保険成立の届出をしていないと「未加入」状態とみなされ、追徴や指導の対象になることがあります。

・雇用保険の資格取得届を提出をしていても、事業所の適用手続きがなされていないと、被保険者資格自体が認められない場合もあります。

・新たな拠点で従業員を採用する前に、必ず社会保険・労働保険の手続きの確認をすることが重要です。


ご相談ください

社会保険労務士法人ファリスでは、複数事業所の労働保険・雇用保険の適用状況チェックや、本社一括手続きの可否判断、実際の届出支援などを行っております。

「うちは大丈夫かな?」と不安な場合は、どうぞお気軽にご相談ください。

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