年に一度の健康診断、実は会社にも義務があります!
- あたけ

- 10月14日
- 読了時間: 3分
皆さん、健康診断は毎年受けていますか?
「忙しくて後回しにしてしまう」「数年前に受けたから大丈夫」と思っている方も多いと思いますが、実はこの健康診断、労働安全衛生法で企業に実施義務があるということをご存じでしょうか。
今回は、社労士の立場から「健康診断」に関する法律上のポイントや、企業が注意すべき実務対応について解説します。
1. 健康診断は会社の義務です
労働安全衛生法第66条では、事業者(会社)は労働者に対して定期的な健康診断を行う義務があると定められています。正社員だけでなく、週30時間以上働くパート・アルバイトも対象になる場合があります。
健康診断の主な種類は次のとおりです。
雇入時健康診断
定期健康診断(年1回)
特殊健康診断(有害業務に従事する労働者)
海外派遣前後の健康診断 など
企業がこれを怠ると、労働基準監督署からの是正勧告を受ける可能性もあります。
2. 健康診断の費用は「会社負担」
健康診断の費用は原則として事業者(会社)が負担します。自己負担を求めることは基本的にできませんが、会社が一定の上限額を設けることは可能です。
👉たとえば「10,000円までは会社負担とし、それを超える場合は従業員負担」といったルールを就業規則や社内通知で明確にしておくとトラブルを防げます。
また、健康診断は勤務時間内に受診させるのが原則です。
勤務日中に受ける場合は、当然ながらその時間は「労働時間」として扱います。
一方で、会社が休日に受診を指示した場合を除き、本人の希望で休日に受診した場合は別途給与を支払う必要はありません。
ただし、会社側が受診日時を休日に指定した場合には、その時間分を労働時間として扱う必要が生じるため注意が必要です。
3. 結果の保管と活用も重要
健康診断の結果は、5年間の保存義務があります。
結果を受け取ったら、産業医や保健スタッフが内容を確認し、必要に応じて就業上の措置(配置転換・労働時間短縮など)を検討することも必要です。「受けさせて終わり」ではなく、結果を活用して職場の健康管理体制を整えることが大切です。
4. 健康診断をきっかけに「働き方」を見直す
健康診断は、単に法律上の義務ではなく、従業員の健康を守るための大切な機会です。
過重労働やストレスが原因で健康を損なうケースも増えています。年に一度の診断を、職場全体の健康意識を高めるきっかけにしましょう。
5. 健康診断を拒否する従業員への対応
健康診断は会社の義務であるだけでなく、労働者にも受診義務があります(労働安全衛生法第66条第5項)。
つまり、会社が適切に案内・日程調整を行っているにもかかわらず、従業員が正当な理由なく受診を拒否することは認められません。
「会社には法的に実施義務があること」「健康診断を受けないと職場全体の安全配慮ができないこと」を伝え、業務上の指示として受診が必要なことを理解してもらう必要があります。
ただし、本人が体調不良・妊娠・通院などの理由で一時的に受けられない場合は、柔軟に受診時期を調整することが望ましいです。
「義務だから強制」という姿勢だけでなく、「健康を守るための制度」というメッセージを伝えることが、結果的に受診率向上にもつながります。

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