【産休・育休 会社対応まるわかり(全3回)】③育休・出生後休業(産後パパ育休)と給付
- あたけ

- 2月24日
- 読了時間: 4分
育児休業まわりは、ここ数年で制度が増え、「分割取得」「出生後休業(産後パパ育休)」「支援給付金」など、聞き慣れない言葉も多くなりました。
ただ、会社側が最初に押さえるべきポイントは意外とシンプルです。今回は、社長・事務担当の方向けに、“これだけ押さえればOK” でまとめます(細かな例外は割愛します)。
1. まず全体像:育休は「母だけの制度」ではない
育休は、出産後に主に利用される休業ですが、最近は 父親側も取りやすい制度(出生後休業=産後パパ育休) が整備され、夫婦で組み合わせるケースが増えています。
会社としては、制度の違いを細かく暗記するより、まず次の整理で十分です。
出産直後に取りやすい休み:出生後休業(産後パパ育休)
※子どもの出産日から取得可能
出産後〜一定期間の育児のための休み:育児休業(育休)
※ママは産後休業後から取得となります
お金(給付):主に雇用保険の育児休業給付(+該当があれば支援給付金)
2. 会社が詰まりやすいのは「分割取得」より“受付と期限管理”
制度が複雑に見えても、現場で詰まる原因はほぼここです。
申出が口頭で進み、記録が残らない
期限が曖昧で、いつまでに何を出すのかが混乱する
現場・事務・外部委託(社労士/給与会社)で情報が分断される
3. 給付は「何があるか」だけ会社が押さえ、金額は断言しない
育休中の給付の中心は、雇用保険の【育児休業給付】です。
さらに状況により、出生後休業支援給付金などの対象になることがあります。
会社の案内としては、
育児休業給付金:雇用保険から給付がある
※基本は子が1歳になる前日まで取得可能です。保育所に入れないなどの理由があると最長2歳まで延長が可能です。
※2か月単位で申請し、育休が終了するまで続きます。
出生後休業支援給付金:一定の要件に該当する場合に給付がある
※R7.4新設:子どもの出生直後に両親の育児休業取得を経済的に支援する制度
原則として、夫婦それぞれが14日以上の育児休業を取得することで受けられる育休給付金の上乗せ給付のような立て付け(一時支給・最大28日間給付)。
最終決定:可否・金額・支給時期は、要件確認後にハローワーク等で確定
4. ここが重要:育休中も社会保険料が免除(会社負担分も)
産休と同様に、育休中も(要件の範囲で)社会保険料が免除になります。ここを知らないと「給与がゼロなら社保もゼロだよね?」と誤解しやすいので、社内で必ず共有しておきたいポイントです。
免除されるのは健康保険・厚生年金保険の保険料
本人負担分だけでなく、会社負担分も免除
免除は“自動”ではなく、所定の手続き(届出)を行うことが前提
「いつからいつまで免除になるか」は、育休の取得期間の組み方で変わることがあるため、事務側で一括管理するのが安全
育休期間が変更(子の1歳より前に終了/延長)した場合は変更/終了届が都度必要
実務では、免除手続きを失念して後から訂正になることがあります。育休取得が決まったら、申出の受付と同時に「社保免除の対象期間」を整理しておくと安心です。
5. 会社が最初に確認すべき「これだけ4点」
育休・出生後休業の相談が来たら、最初にこの4点だけ集めれば、あとは流れで回せます。
出産日(予定日)
希望する休業の種類(育休/出生後休業)
希望する休業期間(分割希望の有無も含めて)
現在の雇用条件(雇用保険の対象かどうか、就業の予定の有無など)
これが揃うと、給付の見通し・社保免除・社内の引継ぎまで一気に整理できます。
【補足】全3回まとめ(会社が押さえるのは“制度”より“運用”)
このシリーズでは、産休・育休を「制度の暗記」ではなく、会社としての義務対応と、実務を混乱させない運用に絞って整理しました。結局のところ、会社が最初に整えるべきは、
①相談窓口の一本化 ②申出を記録に残す ③期限管理を事務が握る
この3点です。制度の細部はケースごとに確認すれば足りますが、この土台がないと“言った・聞いてない”や手続き漏れが起きやすくなります。
もう一つ大事:厚生年金の「養育期間の特例」(将来の年金を守る制度)
産休・育休中は社会保険料が免除されるため、「将来の年金額が下がるのでは?」と心配されることがあります。
産休・育休中の社会保険料の免除期間は、保険料を納めたものとして扱われるため、免除そのものが将来の年金額を直接下げるわけではありません。
一方で、従業員向けには次のように補足しておくと安心につながります。
『子を養育している期間は、一定の手続きをすることで、厚生年金の標準報酬が“養育開始前の水準”で扱われる特例(養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置)』があります。
たとえば育児のために短時間勤務へ変更して報酬が下がった場合でも、将来の年金計算上は、一定の条件のもとで“下がる前の等級”で算定される仕組みです。
会社側としては、制度の詳細を説明しきる必要はありませんが、
「育児で働き方が変わるとき、年金上の特例がある(必要なら手続きの案内ができる)」
という一言があるだけで、従業員の不安を減らせます。

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