「労災に入っているつもり」が一番危ない-同居親族と「労働者性」の誤解-
- あたけ

- 2025年12月16日
- 読了時間: 3分
会社を経営していると、 配偶者や親族が事務・経理・総務などを手伝っているケースは少なくありません。
その際によく聞くのが次のような話です。
「同居の家族だから雇用保険には入れていない」
「だから労災には加入できているはず」
実はこの考え方、制度上は大きな誤解であり、万が一の事故のときに補償が一切出ない危険な状態になっていることがあります。
労災保険・雇用保険の共通点
まず大前提として、労災保険も雇用保険も「労働者」が対象の制度です。
【給与を払っているかどうか】、【働いているかどうか】ではなく、その人が「労働者」といえるかが判断基準になります。
同居している親族はどう扱われる?
労災保険・雇用保険ともに、事業主と同居している親族は、原則として労働者に該当しない
という取扱いがされています。たとえ、
毎日出勤している
総務や経理などの業務を担当している
給与を支払っている
という実態があっても、原則として保険の対象にはなりません。
(※ 例外的に労働者と認められるケースもありますが、かなり限定的です)
よくある誤解として、
「雇用保険は除外、でも労災には入っている」
この考え方が生まれやすい理由は、
雇用保険=失業したときの保険
労災保険=仕事中のケガの保険
というイメージ先行の理解です。
しかし実際には、
雇用保険 → 労働者性がなければ加入不可
労災保険 → 労働者性がなければ加入不可
という点は同じです。
労災保険料を払っている = 補償される
ではありません。
実は「いちばん危ない状態」
この誤解が放置されたままだと、次のような状態になります。
雇用保険:未加入(原則OK)
労災保険:保険料は払っている
事故が起きた場合:→ 労災給付は「労働者ではない」として否認
結果として、保険料は払っていたのに、補償は一切出ない
という事態が起こり得ます。特に、
通勤中の転倒事故
社内での転倒・ケガ
軽い作業中の事故
などでも問題になります。
正しい整理の仕方(実務対応)
同居している親族が業務に従事している場合、多くの事業所では次の整理が現実的です。
労災保険の賃金総額からは除外
雇用保険には加入しない
万が一に備え、民間の傷害保険等で補償を検討
事業主が労働保険事務組合に特別加入している場合は家族従事者として特別加入をする
「とりあえず労災に入れておく」という取扱いは、結果的に何も守れない状態を作ってしまいます。
まとめ
労災保険も雇用保険も「労働者」が対象
同居親族は原則として労働者に該当しない
保険料を払っている=補償される、ではない
事故が起きてからでは遅いケースが多い
「加入しているつもり」になっていないか一度、制度としての整理をおすすめします。
※ 本記事は一般的な制度整理を目的としたものであり、具体的な取扱いは個別の実態により判断が異なる場合があります。

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