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よくある“年収の壁”の勘違い5選

  • 執筆者の写真: あたけ
    あたけ
  • 11月24日
  • 読了時間: 4分

「扶養の範囲内で働きたい」「年金をもらうと収入の壁が変わるの?」

年金受給やパート勤務をめぐる“年収の壁”の相談はとても多いです。

ところが、この“壁”には「税金」「社会保険」「年金」など、いくつもの仕組みが関係しており、混同されやすいポイントでもあります。

今回は、よくある誤解を分けて整理してみます。


❶「103万円の壁」=すべての基準ではない

  • R7年の税制改正により所得税上の壁であった『103万円の壁』は『123万円の壁』に変更となっています。この壁は、主たる収入のある方(世帯主側)の税金に関係する基準です。

    【配偶者】:201.6万円までは「配偶者特別控除」で段階的に控除が減るだけ*❸で説明

    【特定扶養親族(19歳以上23歳未満)】:188万円まではR7年に新設された「特定親族特別控除」で段階的に控除されます*❺で説明

    → 給与の“扶養手当がなくなる”のは会社規定によるので要確認。

    ※会社の扶養手当の支給基準が’’所得税上の扶養’’か’’健康保険上の扶養’’かは会社の取り決め次第となります。


❷「110万円の壁」=本人に住民税がかかってくる基準

  • 本人の年収が110万円*R8年度から適用 を超えると、住民税がかかります(自治体によっては110万円以下でも住民税均等割が課税されます)。


❸「123万円の壁」=配偶者の所得控除に影響

  • 本人の年収が123万円を超えると、その配偶者(合計所得1,000万円以下の場合)は「配偶者控除」(最高38万円)の適用が受けられなくなりますが、201.6万円未満までは「配偶者特別控除」の適用が段階的に受けられます。

  • 配偶者・特定扶養親族以外の収入要件も123万円に引き上げられました。


❹「130万円の壁」=社会保険上の扶養ライン

  • 健康保険・厚生年金の被扶養者基準。

  • 年収130万円未満(週の労働時間が30時間未満など)であれば、本人が社会保険に加入せず、配偶者の扶養に入れる。

  • ただし、配偶者本人が従業員数51人以上の企業で週20時間以上、88,000円以上の賃金で働く場合は「106万円の壁」が適用されるケースも。

    → 税の扶養(103万円など)と社会保険の扶養(130万円)は別物!

★2025年10月より健康保険上の被扶養者認定における年間収入要件が変更となり、19歳以上23歳未満の子等の被扶養者(配偶者除く)は年間収入150万円未満となっています。


❺「150万円の壁」=特定親族特別控除に影響

  • 生計を一にする大学生年代(19歳以上23再未満)の子等の年収が150万円を超えると、その親等が受けられる「特定扶養親族控除」の額が段階的に縮小します。

    188万円を超えると「特定扶養親族控除」は受けられなくなります。

    ※あくまで年齢要件となり、大学生でなくても年齢で適用となります。


❻「160万円の壁」=本人に所得税がかかる

  • 年収160万円を超えると本人が所得税を負担しなくてはいけなくなります。


❼「年金をもらうと健康保険の扶養から外れる?」の誤解

  • 本人が働いている、その他収入がある場合には合算となるため、年金をもらってもパート収入等との合計で130万円未満(60歳以上は180万円)なら扶養継続可というケースが多いです。

  • この点を混同し、「年金を受給したら自動的に扶養から外れる」と誤解されがちですが、実際には収入基準で総合的に判断される仕組みとなっています。


❽「在職老齢年金」=本人の年金がカットされる“壁”

  • 65歳以上で厚生年金に加入して働く場合、 →「年金+給与の合計が月51万円*R7年度額を超えると支給停止(調整)」。

    ※現役で働く会社の役員など、収入が高い場合に支給停止となる場合があります。

  • これは本人の年金受給に関するもので、配偶者の扶養とは無関係。

  • 「妻がパート」「夫が年金を受給」という組み合わせでは関係しない。


❾「扶養を外れると損をする?」の勘違い

  • 配偶者の健康保険上の扶養を外れても、その分「自分の社会保険加入」「厚生年金加入」ができる。

  • 将来の年金額アップや傷病手当金などの給付を受けられるメリットも。

  • 短期的には手取りが減っても、長期的には安心が増すという視点を持つことが大切。


なお、配偶者がダブルワークで、それぞれの勤務先では社会保険加入条件ではないものの、年収が130万円を超えるようであれば、健康保険の被扶養者からは外れ、自身の勤務先で社会保険に加入できないので自身で国民健康保険・国民年金を負担する必要があります。

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