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大学生世代(19歳以上23歳未満)の扶養認定収入額が150万円未満へ引き上げ

  • 執筆者の写真: あたけ
    あたけ
  • 11月13日
  • 読了時間: 3分

2025年10月以降、大学生など19歳以上23歳未満の親族を健康保険上の被扶養者として認定する際の年間収入要件が、これまでの「130万円未満」から「150万円未満」へ引き上げられます。これは、税法上の扶養控除見直しに合わせた改正であり、学生世代の就労実態を踏まえた柔軟な運用を目的としています。


改正の背景・ポイント、そして税法上の扶養控除との関係、配偶者(子どもではない扶養)への影響・注意点などを整理します。


■ 改正の概要

  • 対象年齢:19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く)

  • 適用時期:2025年10月1日以降の扶養認定分から適用

  • 新基準:年間収入150万円未満(従来:130万円未満)

  • 判断方法:認定時点での「年間収入見込み」により判定

今回の改正は、主に学生アルバイトなどの収入増加により、従来の130万円ラインを超えてしまうケースが増えたことを受け、社会保険上の扶養認定基準を税制改正と整合させたものです。

※ただし「令和7年10月1日より前の期間について認定する場合」は旧基準130万円未満で判定。


■ 改正の背景と狙い

近年、学費・生活費を補うために働く大学生が増えています。特に最低賃金の上昇や短時間労働の拡大により、年間130万円を超える収入に達する学生が珍しくなくなりました。これにより、親の健康保険の扶養から外れて本人が国民健康保険に加入するケースも見られました。

こうした状況を踏まえ、税法上の「特定扶養親族(19歳以上23歳未満)」に対する扶養控除の改正に合わせて、健康保険上の収入要件も150万円未満に緩和されることになりました。これにより、学生世代が必要以上に就労を抑制することなく働けるようになります。


なお、改正は健康保険・年金上の「被扶養者認定」に関するもの(社会保険上の扶養)ですが、税法上の扶養控除制度(特定扶養控除・特定親族特別控除など)との整合も意識されています。


■ 注意点と対象外のケース

  • 配偶者は対象外:この改正はあくまで「19歳以上23歳未満の子など親族」が対象であり、被保険者の配偶者には適用されません。配偶者の年間収入基準は引き続き130万円未満が目安です。

  • 見込み収入で判定:年途中で収入が増加した場合、見込み年収が150万円を超えると扶養から外れる可能性があります。掛け持ち勤務や繁忙期のシフト増加などには注意が必要です。

  • 学業要件ではなく年齢基準:大学生かどうかではなく、あくまで年齢(19~23歳未満)で判断されます。


■ 税法上の扶養控除との違い

社会保険上の「被扶養者」と、税法上の「扶養控除」は別制度です。

  • 社会保険上の扶養:健康保険や年金の保険料負担に関する制度。被扶養者であれば、保険料を支払わずに親の健康保険に加入できます。

  • 税法上の扶養控除:親の所得税・住民税を軽減するための控除制度。子どもの収入が一定額以下であれば、親の税負担が軽くなります。

今回の150万円未満への改正は、税法改正に「合わせた」ものであり、「税金上の扶養認定が自動的に維持される」という意味ではありません。それぞれの基準で別途確認が必要です。



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