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社会保険の「同月得喪」とは? 入社月に退職したときの保険料控除を分かりやすく整理

  • 執筆者の写真: あたけ
    あたけ
  • 4月23日
  • 読了時間: 3分

社会保険の手続きで、実務上たまに発生する「同月得喪(どうげつとくそう)」があります。

これは、社会保険に加入した月と喪失した月が同じ月になるケースをいいます。

たとえば、4月1日に入社して社会保険に加入し、4月7日付で退職した場合などが典型例です。

勤務日数が短く、月末在籍でもないため、「社会保険料は引かないのでは?」と思われがちですが、実際はそう単純ではありません。

今回は、社会保険の同月得喪について、会社側が押さえておきたいポイントを分かりやすく整理します。


同月得喪とは?

社会保険では、資格取得日と資格喪失日が同じ月内にある場合でも、原則としてその月の保険料が発生します。

協会けんぽでも、『加入した月の保険料は必要であり、資格喪失月の保険料は不要だが、加入と喪失が同月の場合はその月の保険料が必要』と案内しています。

つまり、4月中に入社して4月中に退職した場合は、4月分の社会保険料がかかるのが原則です。


実務で一番大事なポイント

会社の給与計算実務では、同月得喪の場合、本人負担分の社会保険料を最終給与から控除する対応になります。

日本年金機構も、『資格取得月に資格喪失した場合は厚生年金保険料の納付が必要であり、被保険者負担分は退職時に給与から控除し、会社が事業主負担分と合わせて納付する』と示しています。


そのため、在籍日数が数日しかなくても、社会保険料の控除が発生し、場合によっては給与の手取りがかなり少なくなることがあります。

場合によっては、最終給与だけでは控除しきれないケースもあります。


「数日しか働いていないのに1か月分かかるのか?」

ここが一番説明しづらいところですが、社会保険料は日割り計算ではありません。同月得喪に該当すると、その月分の保険料が1か月分発生するため、数日勤務でも月額保険料がかかることになります。

従業員から見ると不思議に感じやすい点ですが、会社としては法令上の取扱いに沿って処理する必要があります。


ただし例外もある

厚生年金については、資格を取得した月に資格を喪失し、さらにその同じ月に厚生年金保険または国民年金の資格を取得した場合、先に喪失した厚生年金保険料は不要になる取扱いがあります。

この場合、年金事務所から会社へ還付のお知らせが届き、会社は還付後に本人負担分を本人へ返す流れになります。

つまり、いったん会社で控除したあとでも、後日還付対応が発生することがあります。


会社としての実務対応

同月得喪が発生したときは、次の点を確認しておくと実務がスムーズです。

  • 資格取得日と退職日(資格喪失日)の確認

  • 最終給与から本人負担分を控除できるか

  • 控除しきれない場合の対応方針

  • 同月内に別の年金制度へ加入していないか

  • 賞与支給がある場合は対象可否の確認

特に、従業員から「なぜこんなに控除されるのか」と質問を受けやすいため、【同月得喪では1か月分の保険料がかかる取扱いであること】を、事前に丁寧に説明しておくことが大切です。


まとめ

社会保険の同月得喪は、入社してすぐ退職したケースでよく問題になります。勤務日数が短くても、原則としてその月の社会保険料は発生し、本人負担分は最終給与から控除する取扱いになります。

一方で、同月内に別の年金制度へ加入した場合などは還付が生じることもあり、単純に「必ず終わり」ではない点にも注意が必要です。

入退社が多い時期ほど起こりやすい論点ですので、給与計算や手続きの前に、取扱いを整理しておくことをおすすめします。

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